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■ラバー・ソウル■
ラバー・ソウル

ビートルズがアイドルからアーティストへ変化したといわれる1965年に発売の6枚目のスタジオ・オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』です。

ビートルズのアルバムはどれも好きですが、特に『リボルバー』と『アビイ・ロード』が私のお気に入りです。

しかし、アイドルからアーティストへ変化した記念碑的作品として『ラバー・ソウル』があります。

ビートルズの変化に重要なアルバムとして『ラバー・ソウル』はあります。

前作『ヘルプ!』でアイドルからアーティストへの変化の片鱗(収録曲「イエスタディ」のストリングス採用など)を見せたビートルズが本作においてアーティストへ完全シフトしています。

このアルバムが発売された時、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンは「このアルバムは僕への挑戦だと思った」とビートルズへの「返答」として傑作アルバム 『ペット・サウンズを制作することになります。

ビーチ・ボーイズの「頭脳」で音楽制作の中心であり、「スタジオ・ワークの鬼」(いい意味での「音楽オタク」)である鬼才・ブライアンは、スタジオにこもり、メンバーから「ペットに聞かせる音楽みたいだ」といわれるほど斬新なサウンドを作りました。
(アルバムタイトルの『ペット・サウンズ』は、上記のメンバー発言からとられたといわれます)

制作に他のメンバーはほとんど関わっておらず(コーラスとボーカルのみの参加)『ペット・サウンズ』はビーチ・ボーイズ名義のブライアンのソロ・アルバムとさえいわれています。

『ペット・サウンズ』は、これまでのビーチ・ボーイズに見られた「わかりやすい」サーファー・サウンドではなく、斬新過ぎたため、セールス面では芳しくありませんでした。

しかし今日ではロック史に残る歴史的名盤との評価を受けています。
(『ペット・サウンズ』は、後にやはりロック史に残る歴史的名盤、大傑作アルバムであるビートルズの 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を与えたともいわれます)

ブライアンは、さらに『ペット・サウンズ』を超えるべくアルバム『スマイル』の制作に着手しますが、スタジオへこもっての彼の音楽へのこだわり、のめりこみから、やがて精神への異常をきたし、『スマイル』制作は頓挫・・・ブライアン自身は、復活までに多くの時間を要することになります。
(『スマイル』は、収録予定だった楽曲のいくつかが『スマイリー・スマイル』に流用され、他の収録予定の楽曲もその後にいくつかのアルバムに流用されて『スマイル』は断片的な形となりました、その後は・・・)

ブライアン・ウィルソン関連の話が長くなりましたが、『ラバー・ソウル』はそれだけ(ブライアンの人生に大きく関わるほど)影響の大きなアルバムだったといえます。

『ラバー・ソウル』は、内省的で落ち着いたサウンドに満ち、神秘的な印象さえ受けるアルバムです。

このアルバムにはインド音楽を取り入れた楽曲が収録され、またフォーク・ロックやクラシックのたたずまいも感じさせ、アコーステック楽器を多用するなどロックの枠では収まらない音楽的広がりを見せます。

ラブ・ソング、サイケデリック音楽のトータル・アルバムとの評価もあります。

収録曲はどれも素晴らしいですが個人的には「イン・マイ・ライフ」が特に好きです。

ゆがんだ写真を採用したアルバム・ジャケットはアート・ワークも秀抜です。
このジャケットは、ネガが伸びてゆがんだのをビートルズ自身が「面白い」と採用したといわれ、アルバムの神秘的なサウンドとシンクロしていると思います。

収録曲「ミッシェル」はグラミー賞最優秀楽曲賞を受賞しています。
(レノン=マッカートニー名義のポール・マッカートニーの作品)

全英アルバムチャートでは13週連続1位を獲得しています。


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